内容説明
健康を保つ近道は「確かなものを、楽しみながら、長く続けること」
医療の発達やライフスタイルの変化などによって、日本では多くの人が長生きするようになりました。しかし、寿命が伸びれば伸びるほど健康を害するリスクも大きくなり、そのリスクの一つに「認知症」があげられます。実際に長寿社会の日本では認知症の患者数は増え続けており、厚生労働省の発表によると、2025年には約700万人に達すると見込まれています。認知症の主な原因は「脳の老化」によるものですが、残念ながら老化に抗える薬はありません。老化を止められないまでも、進行を遅らせられることはさまざまな研究でわかっており、「日々の習慣」がそのカギを握っています。
米国の大学が行った調査では、読書やパズルを解くなどの「脳に刺激を与える活動」を行う頻度が多い人ほど、そうではない人と比べて、記憶力や思考力の衰えが抑えられることがわかりました(アルツハイマー病協力会国際会議/2017年7月)。また、世界中の研究から、バランスのよい食事や運動、人との交流も、脳の健康を保つうえでは有効であることが明らかになっています。
本誌の欄外に「ワンポイント健康脳活」を紹介していますので、いいなと感じるものがありましたら、是非とも取り入れてみてください。
新しい行動を継続して、それが「習慣」になると、健康への効果もさらに期待できます。ここでひとつアドバイスがあります。新しい行動をはじめるときは、すでに身についている習慣と組み合わせて行うと、三日坊主で終わらず長続きしやすくなります。例えば、パズルを長年楽しまれている方が新しいことをはじめたいとしましょう。いつもとは違う種類のパズルに挑戦してみる。足踏みをしながらパズルを解く。本を購入するとき、遠くのお店まで歩いて出かける。仲間を探して、パズル談義に花を咲かせるなどのように今の習慣に新しい行動を加えると、楽しみながら新しい習慣を身につけることができます。
人生100年時代には、健康を維持することと同時に、生活や趣味の活動を充実させることも大切です。健康によいからといって、イヤなのに無理してやるのではなく、自分が楽しめるものを選ぶようにしましょう。「確かなものを、楽しみながら、長く続けること」これが脳と体の健康を保つ一番の近道です。小さなことでもかまいませんので、今日からはじめてみましょう。早くはじめれば、その分取り組む時間が長くなり、健康に及ぼす効果が期待できます。最後になりましたが、読者の皆さまのパズル生活の充実と心身のご健康を心よりお祈り申し上げます。
一般社団法人元気人